二次元の夜空にあるのは板張の満月
剥製の砂浜の傍らには擬態語の波音
等しく平夷なその中に
斑無き色彩は延ばされる
そこに続話は訪れず
そこに永遠は留まらない
長きに渡る時の中
乾き崩れるものがあり
長きに渡る時の中
褪せ衰えるものがあり
しかし、全ての構図はそのままに
しかし、全ての面積はそのままに
絵描きではないその腕は
ただ影だけがそこに残る
ならばそれは誰なのか
つまりそれは囚われの部外者
深さのないその海に手を伸ばし
一体何を掬おうというのか
動きのないその海に手を伸ばし
一体何を救おうというのか
埋もれたダイヤ
たゆたう小鳩
窺う聖書
並ぶ灯篭
以前という以前より前にあり
以後という以後より後にある
切り取られては押し潰された
世界という名の孤独な遺蹟
そして、眺められる存在は
眺める存在を手放さない
佇むしかない絵と佇むしかない手
繰り返される半減期を数え
時の狭間に落とし穴を探す