薄れる灯火


傍らにある幾つもの灯火

頼りなく揺れては消える

多く消えてきたが

気付かずに通り過ぎる人もまた多い




道は覚えても路面は忘れる

振り返っても景色は遠い




人は自分の足の裏を見ない

そこに数え切れぬ骸の跡があることを知らない




手に残る血が無ければ

目に映る死が無ければ

人は何処までも残酷になれる




循環の内に争いがあり

外す力が無いのなら

せめて知っていなくてはならない




望みの為に犠牲があり

他に術が無いのなら

せめて知っていなくてはならない




風に吹かれれば二度と点かない

自分が吹き消したかもしれない

貴い灯火のことを