十年後のブランコ


夕日に伸びた自分の影を見る度

大人になったつもりでいられた心は

いつの頃からか賢くなって

背伸びすることを忘れてしまった

小さな怪我にすら怯える声は

変わらない太陽と月に訊いてみる

「あの頃笑いながら走っていられた足は

どこへ向かっていたのだろう?」




十年後のブランコは

錆と共に小さく佇む

用意された罠だと知りながら

涙が頬を伝っていった