幸せ


隣に広がる草木を見て

たおやかな花弁に触れ

控え目な香りに包まれ

風に揺れる音を聞く




そして幸せを感じる




失っていくばかりの日々に

自らの両肩を抱えなくても

掌を開いて見れば

そこに残るものに気付くはず




果てしない夢の端に

果てしない今の端に




昔駆け抜けた道が今は無くても

見知らぬ風景に胸を痛めるように

心はいつまでも覚えている

傷付かないようにそっと抱えて




太陽と風があって

場所と時間があって




「ありがとう」が苦しいほどに嬉しく

「がんばれ」が切ないほどに愛しい




そんな世界に立っているから