寒空の下で口笛を吹いた
寂しい音だった
風に揺れる葉は何処にもない
感傷を逃した溜め息は
思っていたよりも短い間
景色を霞めて消えていった
昨日と明日に埋没していく
白いだけの時間
凍えた両手は少しずつ
握っているものさえ忘れていく
届いてくるのは温もりではなく
唸る風の合間の空耳
醒めた空気に顔を軋ませ
歪な笑顔でそれに応える
此処は冬
凍てつく冬
死滅の冬
春待つ冬
誰かの足で振り返り
心許ない背中から
氷点下に独り呟いた
灰色の空の下
弱い微笑を厳重に隠して