抜け殻


果てを見せない霧の中

地面の感触だけを頼りに

彷徨い歩く一つの抜け殻




飛んでいった中身を求め

背から忍び入る風に耐え

目的の地には程遠い




土の上に腰を下ろし

傍らの葉を見上げては

顧みる過去の安穏




軽くなった体は風に揺られ

抗う力も残されず

過ぎたものとして葬られるのか




深まっていく霧の中

最後の力も吸い取られ

永遠に失う中身の行方




残された声

意味なき声

その後に待つ一切の静寂




時は留まる事を知らず

風化する中で夢見る

麗しい花と遥かな空