夜刻


俯いたまま

夕闇を悟って

そこにある月を想わず

星は遥か闇の向こう

喪ったつもりで

安堵を繰り返し

永遠に欠けた傷痕に

時と風が埋めた砂

満ちる潮がさらうとき

沁みる痛みに顔を上げ

そこにはただ空がある




覚えない瞳は

星を映し

憶える瞳は

涙を流す

それは遠いのだと知り

それは見えるのだと知り

夕闇は闇夜へ

闇夜は黎明へ

流れ還る