見上げるまでもなく影が伝える頃 歩く傍らを自転車が通り過ぎ そして別の何かが胸の内を通り過ぎていく 例えば水道水の味 例えばカルキの匂い 例えば祭りに誘う声 自然と浮かんだ笑顔は きっと自分をも傷つけてしまうから 今はただ独り 帰り道が好きだったあの頃を思い 夏の夕暮れを聴く