冬の砂浜


さらさらとした砂浜にいくつかの足跡を残して

海の中へ一歩踏み入れる




冷たく、痛い




奪われる感覚

取り戻す生きてきた痕




片足は砂浜、片足は海

凍てつく風が肺を貫く前に見上げる空

できる限りの潮風を吸い込んで

できる限りの言葉を叫ぶ




それは何処かへ吹かれていくのかもしれないし

それはそこで錆付いていくのかもしれない




何も知らない足の下から

波が砂をさらっていく




ここは砂浜と海の境目

歩くものも流れるものも

溶けて消えていきそうな

そんな境目