雨


「君は雨を知ってる?

本当に知ってる?」




地面に当たっては弾け

特有の匂いを広げ

海水とは少し違った塩気を持ち

いつの間にか熱を奪っていく数多の雫




すべてを洗い流すようで

すべてに覆い被さるようで

いつもより独りを感じる




始まりを与える

終わりを告げる




それは雨の意思のようで

それは雨の伝言のようで

無防備な心を切なくさせる




故郷は 山であり 川であり 海であり 空であり

自身が仲間でもある




家の中から眺めていると

からっぽの心には

雨が語りかけてくる




まるで昔馴染みのようで

まるで包まれているようで

自我が遠くへ流されていく




「いつも来られては困るけど、

永遠に去られては困るけど、

ふと思い出したときに、

時々訪れくれないか?」




雨を呼び

雨を拒み

すべての循環の中で

今もどこかで降っている